包茎手術の流れ

包茎専門と称するチェーン系クリニックのようにクランプを使うところは論外として、ここではメスを使って美容外科医が包茎手術を執刀する場合の流れを説明することにします。もちろん、医師により微妙な差はありますが大きな流れは変わりません。

(1)まずは、切除範囲を決めるデザインを行います。

オーダーメードで洋服をする場合のデザイン、採寸に相当する部分で、仕上がりの出来栄えに決定的な影響を及ぼします。通常、10分~15分です。外科医の腕の見せ所なので、詳しいことは書けませんが、平常時のペニスと勃起時のペニスの状態を正確に見極めないと悲惨な結果に終わります。平常時と勃起時でかなりの差がでる人の場合など、優れた経験と技術をもって施術しないと、術後にすごく突っ張ったり、逆に手術をしたのに普段から皮が被りぎみになったりしてしまいます。外科医に限った話ではないかもしれませんが、そこそこ経験も積み手慣れて手術ができるようになったときに、技術の研鑽を止めてしまう人間がほとんどです。そうなると、何万例の経験を重ねても向上することはありません。クランプで何万例の症例をこなしても、百例の向上心ある執刀医に及ばないのも、また事実です。

(2)次に麻酔です。

バナナを例に説明しましょう。包皮はバナナの皮、陰茎がバナナの食べる部分である果実に相当することになります。そして、包茎手術はバナナの皮を切る手術で、果実は関係ありませんから、麻酔をするのも当然、ペニスの包皮だけということになります。軽く指先で包皮をつねった位の感覚しかありません。

(3)さて執刀です。

実は、もっとも手術的なイメージの部分ですが、ここは習熟した医師ならば、時間は10分もかかりません。仕立てだと生地の裁断に過ぎません。デザイン通りに裁断するだけです。ここで、十分に止血をしないと術後にボールのように腫れあがる血腫の原因になります。切除、剥離が雑だと止血が困難になります。

(4)〆の縫合です。

名医は、ここに一番時間をかけます。(時間がかかってしまうという方が適切かもしれません。)待合室が混み合い、手技も流れ作業化しているチェーン系クリニックの医師の大半は、この縫合を一般外科の粗さで終えてしまいます。すると包茎手術の傷跡が目立つことになるわけです。縫合が終わると、包帯でペニス全体をミイラ男のように巻き上げます。これで終了です。重度の包茎、複雑な症例でない限りは、1時間もかかりません。手術中も、慣れた医師であれば注意事項を話したり、会話しながら執刀しますので、患者としたら思っていたよりも、すぐに終わってしまう印象ではないでしょうか。

包茎手術の流れは、おおよそ以上に述べたような感じです。一期一会と言ったらなんですが、縁あって当院にいらした患者さまですから、私は最高の技術を提供するだけでは足りず、カウンセリングや手術中の会話を通じて、できる限りの相談、アドバイスを提供できればと心がけています。ただ余分な包皮を切るというだけなら別ですが、美しい仕上がりを実現するには、多くの技量が医師に要求されます。逆に、技量ある医師に任せてしまえば、術中はもちろん、術後についても、何ら不安を抱くこともなく安心して手術を任せられる、そのような手術と言えるでしょう。