悪徳商法の典型

まずは、下半身裸の状態でベッドに寝かされる。
とても人当たりの良い白衣をまとっった男性看護師（まれにカウンセラーと名乗る事務員）が、やってきて患者の悩みを聞きながら世間話を交えて患者を安心、寛がせます。その後、医者でもないのに簡単に診察めいたことをすると、いよいよ彼らの本業、カウンセリングという名の実質 、“商談”が始まります。
（ここまでを、医者も同席した上で、看護師カウンセラーがまるで医者と掛け合い漫才をするかのように饒舌に進めるところもあるようです。）
そして、話の中で述べられる理由づけはすべて医学的な根拠の無い単なる詭弁ですが、とにかくカウンセリング（商談）の到着地として、亀頭にヒアルロン酸（ないしはコラーゲン）を注入しないと手術ができないと言われてしまいまうことになります。
親身な話をしてくれる、とても誠実そうな白衣をまとった年配の人から、そのように言われてしまうと、医学に無知な患者はそうなのかあと信じてしまいます。
そして、この亀頭への注入の施術費用が、30万やら５０万やらとかかるのです。
クリニック によっては複数のカウンセラーに下半身裸の状態で取り込まれ、『そんなに高いとは思わなかったので今日はいったん帰ります』と告げても、なかなか帰してもらえないところもあるようです。エステならともかく病院であることを考えると嘘みたいな怖い話ですが、よくある実話、その種の病院の日常のひとコマです。
ちなみに、亀頭への注入自体は、早漏防止などが目的の場合は、スタンダードな治療です。また、美容整形で鼻を高くしたり、女性が胸を大きくしたりするのと同じように、亀頭を大きくする目的で、亀頭にヒアルロン酸やコラーゲンを注入するというのも非常にポピュラーな施術です。
ここで問題なのは、包茎治療とは無関係なヒアルロン酸注入術をオプションとしてではなく、 『包茎手術と同時にする必要がある』、『包茎手術に不可欠な施術』として無理やりに勧めてくるところにあります。
『亀頭にヒアルロン酸を注入しないと包茎手術はできない！』などというのは、『あなたの場合、包茎を治すには余った包皮を切るだけでは無理で、一緒に脂肪吸引する必要があります！』と言われているのと同じことなのです。
さらに、このようなカウンセリングは、たくさんある包茎クリニックの悪徳商法手口の一つにすぎません。
相手の予算、ローン限度額に応じて包茎手術の費用そのものも、広告表示のジャスト＊円の方法以外に、より丁寧に仕上げるゴールドコース、さらに上のプラチナコースなどを紹介され、一生に一度などの殺し文句で、結局、高い料金を選 ばざるを得ないように仕向けられます。これらに、『貴方だけに特別！のキャンペーン割引』などをかぶせてくる様々の合わせ技まであるようです。
どれも、訪問販売やエステ被害などで日々報道されている典型的な詐欺商法に過ぎないのですが・・・。女性に比べて、エステや訪問販売の失敗体験に免疫のない男性は引っかかりやすいのもうなずけます。
これで、まだ技術が高ければ救いなのですが多くは技術が非常に未熟で、費用は桁違いに高くつくは術後は他院で修正手術が必要になるはの、まさに泣きっ面に蜂、踏んだり蹴ったりに陥ることが多いのが、悲劇をより一層深刻にしています。